「タグ付けをすると直しが楽」 実際にプロットを肉付けしてみる

ここで一度、実際にプロットを膨らませるのに使っている手順を実況中継的に書いてみます。

仮に『ケータイはTPOを考えて』という啓発映像のプロットを考えてくるように、という宿題が出たとします。(出来はともかく、何か書いて持っていかなきゃいけない、と思ってください)

以下、あくまで、サンプルなのですので、「つまんねー」とかそういう厳しいツッコミは無しの方向でお願いします……

[pukiwiki]
で、ここではたと困るのが 「私はプロットを考えるのが苦手」。年に2,3個しかあらすじを思いつけません(マジで)。 ということで、先日見た夢を題材にして膨らませてみます。

と、ここでお約束を。

”※以下はフィクションであり、実在の人物、団体などとは一切関係ありません”

*変な夢を見た
まずは夢の内容を大まかに。

“○登場人物
 若い女
 若い男
 
(a)女、駐車場に戻ると自動車が消えている
   盗まれた?
(b)女困っている 男とおりかかる
(c) 男と女の会話
女 帰るのやめようかな。車も無くなっちゃったし
(d) (ナレーション)一年後、僕たちは新車を買った
(e) 車に乗って出かける女
(f) ケータイに出る女
(g)事故の描写
(h) (ナレーション) そして、彼女は帰ってこなかった
(i) (字幕) 携帯電話はTPOを考えて

朝起きてからメモしつつ、あぁ、これって昔話の「羽衣」だなぁ、と思ったわけですけれども。(実際に夢にみたのは(b)まで。(c)以降は後付)

*コメディタッチにしてみる
ちょっと、これだと暗いなー、重いなー ということで、書き換えてみます

“(h) 女 「もしもし?(男)? どうしよう、事故っちゃったー(えーん or てへ)」

一気に俗っぽくなりましたが気にしない方向で。。。
*タグ付け
このあらすじをタグづけしていきます。私は慣れの問題でタロットを使っていますが、他のタグを使ったほうがいいかもしれません。

“(a)【戦車 (逆位置)】女、駐車場に戻ると自動車が消えている
(b)【女司祭(逆位置)】 女困っている 男とおりかかる
(c) 【恋人達】男と女の会話
女 帰るのやめようかな。車も無くなっちゃったし
(d) 【戦車】 (ナレーション)一年後、僕たちは新車を買った
(e) 車に乗って出かける女
(f) 【悪魔】 ケータイに出る女
(g) 【塔?運命?】 事故を暗示する描写
(h) 【女司祭(逆位置)】女 「もしもし?(男)? どうしよう、事故っちゃったー(てへ)」
(h-2) 【戦車】 (逆位置) クルマが事故っている
(i)【審判】(判決) 女  or 字幕「携帯電話はTPOを考えて

よく判らないところは、とりあえずそのままにしてあります。
タグづけすることによって、強調する要素を意識、余分なところを引き算していきます。

「羽衣」の構造はどこかに行っちゃったのですが、ここでは拘らないことに。(もともと、それを狙ったわけじゃないですし)

(と、いうか、第一稿は、「羽衣」バージョンだったのですが、書いててかなりドンヨリというか陰々滅々としてblog向きではないし、ここには掲載しないことにしました。ほんとに映像にした場合は、ちょっとシリアスなほうがスタイリッシュになるかもわかりません。)

*キャラを決める
私は実在の俳優さん(役柄)を仮決めすることが多いです。もう少し人物が多い場合は役ごとにタロットでタグ付けして役割を与えたほうがいいと思いますけれど、今回はそこまでしなくてもいいかな?

(女)さんは、適当なコメディエンヌとかアイドルにしとけばよさげ。
役柄のところに

“女  アイドルの○○のモノマネをするつもりで
    演じてください

とか書いとけば。。。
(プロだったら絶対ゆるされそうにないな)

しかし、この(男)さんはキャラ薄くてイメージが沸かないな……
(d)でナレーションしてるし、他の場面でもナレーションしてくれると楽だから……アニメ「涼宮ハルヒ」の狂言回し、キョンくんにしよう。そうしよう。これで一気に書きやすく。読むひとにも判りやすく。

……役者さんにイメージを伝えるためには、もうすこし一般的なキャラとか俳優さんを選んだほうがいいかもわかりませんね。(汗

たぶん、演じる役者さんが先に決まってて、って場合もありますけれども。
*言葉から映像へ
で、せっかく小説などでなく映像で撮る、ということが前提なので、セリフでなく、映像に語らせたい。どんな映像にするか考えてみます

“(f) 【悪魔】 ケータイに出る女

ここでは、ケータイという悪魔が道を踏み誤らせる。。。っていう部分を強調することに。

-ケータイを、どアップに
-ケータイの待ち受け画面を悪魔っぽく
-ストラップを10万34歳な感じにしてみる。
-笑い声をかぶせてみる

。。。と、ベタな表現が並びましたけれども。
ある程度たたき台が無いと人に相談もできないので、これでよしとすることに。

ただ漠然と 「いいアイディア無い?」っていうよりも
「この場面はケータイを悪魔的に撮りたいんだけど、いいアイディア無い?」
って人に聞くのはききやすいですしね。
(と、思うのは私だけ?)
*伏線
そういえば、伏線とか全然張ってないですね。

“戦車 (逆位置)  -> 女司祭(逆位置)

っていう並びが繰り返しのギャグになってるから、ここはこれでよしとして。

(f)(g)あたりの出来事に対する不吉な予感、のようなもの。いわゆる「ただならぬ感じ」を出したい。

“(f) 【悪魔】 ケータイに出る女

伏線の定義はいろいろ有ると思いますけれども、ここでは”「カードAでタグ付けされるシーンを予期させるために、同じカードでタグ付けされるシーンをあらかじめ挿入して、軽いジャブを”という方法論をとります。

ということで、(e)~(f)よりも前に、「悪魔」でタグ付けされる場面を入れたい。
下駄の鼻緒が切れる、黒猫が前を横切る、空から鳩のフンが(。。。っていつの時代の人や)

実生活の体験から引っ張ってみると。。。窓に大きなトカゲが張り付いていて、びっくりしたことがあります。

“女 「せっかくの新車なのに。なーんか、やなかんじ。」

ストックの映像素材も有るし、たとえば、こんなものを使ってもいいかもしれません。
(セリフは無いほうが映画っぽくなるかもしれない。けれど、入れたほうが判りやすいかもわかりません。)

*魔法にかけられて
さて、もう一度流れを見るに

“(c) 【恋人達】男と女の会話
女 帰るのやめようかな。車も無くなっちゃったし

が唐突ですよね? 経験則から、『恋人達』のカードの前に 『節制 (欲望)』 または、 『魔術師』でタグ付けされるシーンを持ってくるとおさまりがよくなる(と、個人的に思っている)ので、シーンを一個足します。

『節制 (欲望)』は水モノ関係にタグづけするのに使っているカード。お酒を飲んでるシーン、もっと直接的に雨が降るシーン、などなど。

ですけれども、私は素人なので、(スプリンクラーなどで人工的に)雨を降らせるのは大変ですし、自然の雨を使うにしても雨待ちとかありえないし、役者さんに「雨の中で演技してください」って言ったら嫌われそうなので、今回は見送り。

「じゃぁ、もう片方の『魔術師』でタグづけされるシーンって何やねん?」
なんですけれども、私の場合は、EyeCandy(って日本語で何って言うんやろ?とにかく目で見て楽しいもの)、パフォーミング・アート全般(歌、音楽、ダンス、ジャグリング、なんらかのステージ)、物理法則を無視した描写(SFX)などなどにはこのカードでタグ付けすることにしております。

ウディ・アレン主演監督『世界中がアイ・ラヴ・ユー』でも、ゴールディ・ホーンと並んで座って会話する前に、一曲踊らないといけなかったりします。(このシーンが好きだったりするわけですが)

-[[タロット 魔術師(ウィキペディア):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%94%E8%A1%93%E5%B8%AB_(%E3%82%BF%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88)]]

タロットカードの魔術師のカード自体、いわゆるファンタジー的な意味合いの魔法使いではなく、(特にマルセイユ版は)カップ・アンド・ボールと呼ばれる奇術を行っている絵が書かれていたり、パフォーミング・アートという意味合いが強いのかな?とか。
素人の撮る映像であっても、ダンスや歌のうまい役者さんだったらチャレンジしてみたいかも。。。

でも、21世紀になって いきなり唄ったり踊ったりして許されるのは、ディズニー「魔法にかけられて」 ぐらい?(それですら、パロディーとして。)

そのものズバリで、マジックバーに舞台を移して、マジシャンに[[テーブル・ホッピング>ググる:テーブル・ホッピング]]させる、というアイディアも魅力的なのですけれども、ここでは、もうちょっと簡単に済ませたいので、たとえば。。。

“ 
事故処理も終わり、知人などに連絡して迎えに来てもらうことに。(という部分は映像としては撮影しないかも)
まずは一度落ち着こう、という心持で喫茶店か何かでお茶している男と女。
 
女 (クルマ盗まれちゃって)どうしよう (困っている)
 
 店員がデカいパフェに花火を挿して持ってくる
 (花火を、綺麗に撮る)
 
女 頼んでませんけど?
 
店員 開店一周年のサービスです
 
女 きれい……帰るのやめちゃおうかな
   クルマもなくなっちゃったし

ちゃんと会話になるように、男の台詞も考えてあげないといけないとか、台詞は、もう少しこなれた感じになるまで音読を繰り返すとかしないとダメですけれども。

……っていうか、パフェ一個でこのセリフとかありえない! と思ったら、男と女が前からの知り合いで。。。

“  女、知人に携帯電話をかけるもつながらず。
  ~中略~ 
店員 開店3周年のサービスです
 
女 きれい……
 
 女性の横顔を綺麗に
 
男 あぁ、そうだな
 
女 そういえば、会うの3年ぶりじゃない?
 
男 もう、そんなだっけ?
  
 少し間
 
女 (笑顔で)……帰るのやめちゃおうかな
   クルマもなくなっちゃったし

……こういうのを専門用語で%%セレンディピティ%% ご都合主義といいます。(脚本講座の先生にも言われたorz) 個人的にはご都合主義大好きですけれども。

*タグづけすると場面の差し替えがラク
で、当然、ひとに見せれば直しが入ります。
尺がどう考えても長すぎる、とか(汗

“(h-2)【戦車 (逆位置)】クルマが事故ってるシーン

は。。。自動車をロングで撮って、ボンネットから煙出すぐらいなら、素人でもなんとかなるかな、と。
(あまり派手にスモークをたくと、消防署に怒られるかもわかりませんが)

でも、スモークもムリ、といわれたら、何がしかのシーンに差し替えないといけません。
(「このシーンはどうしても必要なんだ!」。。。ってのもプロだったら有りだと思うんですけれども。)

じゃぁ、どんなシーンに差し替えるのか。
困ったときのマインドマップ。【戦車 (逆位置)】 を真ん中に書いて、一人でブレストしてみると……

事故った、という連絡電話を受けた男が、デスノート(2作目)で、Lが 「死神……そんなものの存在を信じろというのか!?」 の場面のように、”車輪付きのオフィス椅子から転げ落ちる”、とか。 もしくは、もうすこし普通に。。。

“喫茶店。ミニカーを手でもてあそびながら電話する女
 
女 「もしもし? (男)くん? あのね?……」
  (少し ひきつった笑顔)
   ”ミニカー”がひっくりかえる。
   またはテーブルの上のものに”ぶつかる”

たとえば、こんなんでもいいよね?という。

実際、「直せ」 って言われたときに一番こまるのが 頭の中が真っ白になって、「直しようがない」って自分で思い込んでしまうこと。

以上、シーンをタグづけして強調する部分を決めておくと、直しがラクですよー、という話、でした。

長々とくどい描写ですんません。
[/pukiwiki]

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