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蓮實重彦、大塚英志。。。『映画とタロット』開始のきっかけについてお話しします

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『映画とタロット』に関わる記事をいきなり見ると、単にこじつけして当てはめているだけのように見えますので、不愉快に思われるかたもいらっしゃるかもしれません。

本日は、この一連の文章を書き始めた背景、そもそものきっかけについて、書いてみたいとおもいます。

*始まりは大塚 英志
そもそもの始まりは、大塚 英志氏によるこちらの2冊の本。

-[[『物語の体操―みるみる小説が書ける6つのレッスン』:http://boxheadroom.com/2005/11/07/gym_story_telling]]
-[[『キャラクター小説の作り方』 講談社現代新書:http://boxheadroom.com/2005/10/22/char_novel]]

タロットカード(もしくは代用物)を並べ、それを『読む』ことによって、小説のプロットをつくる、というレッスンが掲載されています。。

つまり、架空の人物の運勢を占うこと=プロットをつくる、という発想を知りました。
この段階では、「でも、むずかしいなー」というところで終わってしまいましたが。
*シナリオ作成支援ソフト『Dramatica』
その後、ハリウッドには、シナリオ作成のための支援ソフトがあるらしいと知ります。
そして、そのソフトでも、タロットカードが使われているらしい、とも

-[[「Dramatica」販売元:http://www.dramatica.com/]]

[[2chの関連スレ【ストーリー製作】Dramatica【支援ソフト】:http://love6.2ch.net/test/read.cgi/bun/1041226102/10-20]]
“13 :1:03/01/02 12:11
でも、タロットカートでプロットを作るという方法は
「Dramatica」でも勿論組み込まれていて、
(以下略)

ただ、具体的な使用例は判りませんでした。

*蓮實重彦 『映画  誘惑のエクリチュール』
映画に詳しい知人から蓮實氏の名前を聞いたことがきっかけで図書館で借りて何冊か読んでみることに。
-[[蓮實重彦:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%93%AE%E5%AF%A6%E9%87%8D%E5%BD%A6]]

評論として書かれたものについては、文系的基礎教養が足りないのでお手上げなのですけれども、一般の人を対象にした講演のテープ起こしは、なんとか読むことができました。((小津安二郎についてはまたいずれ……))

『映画  誘惑のエクリチュール』、こちらは評論本のほうでして、まったくわからなかったのですが、『地獄の黙示録』についての、こちらの文章が目にとまりました

“こうした主題論的な構造にとって、キルゴアの気まぐれな攻撃命令は、一つの逸脱にほかならない。巡回低はその遡行機能を一時的に奪われ、ヘリコプターで宙に吊るされる。物語からいっても、主題からしても、この作戦は不必要な迂回であり宙吊りなのである。事実、ウィラード大尉はあからさまな傍観者の地位に追いやられ、その話者としてのナレーションさえ放棄せざるをえない。
 
「浮上と滑走」
蓮實重彦 『映画  誘惑のエクリチュール』

ぶら下げられて身動きが取れない状態を表現するために、ぶら下げられて身動きがとれない状態にしている、という理解でいいのかしらん?((モンタージュの定義?))
この文章を読んだ瞬間、ふと頭に浮かんだのが、『吊られた男』のカードのイメージ。

その瞬間、逆転の発想が生まれました。
つまり、タロットを使ってプロット作成が行えるなら、”ソーシャル・ブックマークのように、映画の場面をタロットカードというタグを使って分類”することも可能なんじゃなかろうか?

(それによって、製作者の思考プロセスに近づくことが出来るのではなかろうか?)
*蓮實重彦は『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』を予言していた?
こんな文章もありました。

“『レイダース・失われた聖櫃』の最大の弱点は、見ているものに、その上映中から、いま見つつある画面に何が欠けているかをそのつど意識させてしまうという脚本と人物設定のまずさなのであり、たとえばこれをもっと面白くするためには、まず、主人公を誘惑する悪い女が絶対に必要だし、すべてを心得ているが自分には肉体的な若さが欠けているので協力しつつも遠くから見まもるほかはないという老人もまた絶対に必要なのであって、
 
「スピルバーグは『レイダース・失われた聖櫃』を
明らかに手抜きを承知で撮りあげてしまった」
蓮實重彦 『映画狂人シネマの煽動装置』

まさに、『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』そのもの。((蓮實先生すげぇ!& ショーン・コネリーかっこいいですよね))
……製作陣も、この本を読んだのかもしれませんけれども。

仮に、この欠けていた(追加された)登場人物たちを「悪魔」 「隠者」のカードでタグ付けします。
*ひと味足りない……何を足そう?
料理でも「ひと味たりない」って状態が起きるときがあります。しかし、困るのは”『何を足したらいいのかわからない』”こと。 調味料は、すごく多くの種類があります。

例えば、蓮實氏のような頭があれば、過去に存在した映画作品ですとか、いろいろな理論的なものに立脚して、これが足りない、というものを挙げることができます。

しかし、そんな頭を持っていない、けれど、(たとえば、何らかのいきがかりで) 映像を作らなきゃいけない必要性に迫られたとき、どうすれば……

上記、インディ・ジョーンズについての文章を読んだときにひらめきました。
つまり、登場人物たちについても、タロットでタグ付けしてやれば、人物の役割の過不足を防ぐことができるかもしれない。
同じタグ付けされる人物は重複しているのだから整理し、ひと味たりない時には……まだ使ってないカードを順番に当てはめてみればよい。 大アルカナ22枚+小アルカナのスート4枚。 ブルートフォースで総当りしても、その手間はたかが知れています。
—-

……以上が、『映画とタロット』というシリーズを書き始めたそもそものきっかけであります。
他にも、この方法論は映像制作の効率を26倍する方法論として応用がきくのではないか……と考えています。
(それについても、順次、記事にしていければ、と思っています。)

……その前に、既存の作品(特に新作)を見て、感想を書く、というトレーニングの場としてこのblogを使っていけたら。
ついでに、存在するであろう、『いろんなひとの劇場公開中の新作の感想を知りたい』というニーズにお応えしていければ、と思っています。

-[[最近見た映画の感想:http://boxheadroom.com/movie_and_tarot]]

*参考図書
[[http://ecx.images-amazon.com/images/I/21BY6K976HL.jpg:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309265197/tamac-22/ref=nosim/]][[http://images-jp.amazon.com/images/G/09/icons/books/comingsoon_books.gif:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480025022/tamac-22/ref=nosim/]]

[[映画狂人 シネマの煽動装置:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309265197/tamac-22/ref=nosim/]]
[[映画 誘惑のエクリチュール (ちくま文庫):http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480025022/tamac-22/ref=nosim/]]
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『世界』をつなぐもの「ベオウルフ/呪われし勇者」「パイレーツ・オブ・カリビアン」

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というわけで、映画「ベオウルフ」見てまいりました。一部の映画館では立体映画として上映されてるとのことですが普通の画面で。

”[[映画 『ベオウルフ/呪われし勇者』公式:http://wwws.warnerbros.co.jp/beowulf/]]”

劇場で見るまで特撮実写映画だと思ってたのですが、上映が始まったらCGだったのでビックリ。
しかし、ハリウッドのCG技術はどんどん進化してますね。フルCGなのか、一部実写か判らん。。。

“『ベオウルフ』(英語:Beowulf、古英語:Bēowulfベーオウルフ)は、英文学最古の作品のひとつで、英雄ベオウルフ(ベーオウルフ)の冒険を語る叙事詩である。
[[ベオウルフ(ウィキペディア):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%AA%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%95]]

その昔、RPGツクールの元ネタにしようと、岩波文庫で読んだ記憶があります。
ポストモダンの時代の映画らしく、ベオウルフ自身が、この叙事詩に言及する場面もあります。
というか、RPGの元ネタに。。。で察して頂きたいのですけれども”ドラクエみたい”なアクションファンタジー映画です。かなり野蛮です。大きなお友達向けですので、大人の女性は見に行かないように。

原作から、かなり大胆なアレンジが施されています。これはうまい。
風呂敷もうまく畳まれています。
*13(サーティーン)ウォーリアーズ
[[http://ecx.images-amazon.com/images/I/31DRV9EPCNL.jpg:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005HS0V/tamac-22/ref=nosim/]]
アントニオ・バンデラス主演のこちらの作品も、ベオウルフを下敷きにしています。モンスターではなく、部族同士の争い、というふうにアレンジされていました。
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*『悪魔』 美しき誘惑者
ファンタジーにつきものなのが、主人公の前に立ちふさがる存在。(ここではタロットの『悪魔』のカードでタグ付けしたいと思います。)

時に醜い怪物の姿で、時に美しき誘惑者として。。。で、美しき誘惑者のほうを熱演してるのがアンジェリーナ・ジョリー。”脱いでます。”CGですけど。「ヤッターマン」のドロンジョ様役に名前が挙がっただけのことはあります。(?)
原作ですと、八岐の大蛇退治と同じように、怪物退治の過程で剣を手に入れるくだりがあるのですけれども、映画ではストーリーの進行上割愛されてて残念。

*フライスルーで見渡す『世界』
CG映画お得意の表現のひとつがフライスルー。自由自在にカメラが空中を飛び回り、作品世界をなめていきます。
バードビューで、『あぁ、ドラクエの街っぽいところだな』と判りやすい。この作品に限らず、鳥瞰図が使われた場面は素直に『世界』のカードでタグ付けしてよさそうなものが多いように思います。
*世界をつなぐもの……「船」
そして、もうひとつ。『世界』をあらわすためのアイテムが『船』。
作品冒頭、嵐の海の中を漕ぎ渡る船。ベオウルフは舳先にすっくと立ち、進路をにらみつけます。彼が、普通の地続きの町ではなく、荒波を超えて、遠くの見知らぬ『世界』からやって来たことがうまく表現されています。宮崎アニメなんかでもおなじみの表現ですけれども。
同時に、『船を駆る者』という意味合いで、 『戦車』でタグ付けしてもよいかもしれません。
この作品では、船はもう一度、クライマックスシーンでも使われております。

*「パイレーツ・オブ・カリビアン」
「パイレーツ・オブ・カリビアン」三部作でも、地続きで行ける場所と違い、船でないと行けない場所、というのは、非日常感あふれるアドベンチャーの世界となっています。(特に三作目「ワールド・エンド」)
「タイタニック」冒頭でも、客船=新大陸へ渡るための唯一の手段
「ワンピース」なんかもそうですけれども。((ここで「地獄の黙示録」をもってこないのは、また今度、記事を書く予定があるから))

。。。って娯楽作ばかりですがっ!
実は、文芸的な作品よりも、娯楽作のほうがセリフを削らなくてはならない分、タロットでタグ付けしやすい気がします。

*もっとお手軽な道具は?
自主制作だと、船なんて大変ですよねー。でも、ハリウッドの超大作にあっても、もっとお手軽な道具を使っている作品があって驚きました。それは。。。(つづく)
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