株式優遇税制で軽減される税額は国家予算規模

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<<追記>>
2009-08-22
『金融規制の代替案としての消費税』を追記しました
—-

平成21年現在、株の売却益への課税は、優遇税率10%となっています
-[[金融庁のページ:http://www.fsa.go.jp/ordinary/zeisei/index.html]]

しかし、もうひとつ、優遇されている税があります。 それは。。。
*株の売買代金は消費税がかからない
消費税といえば、赤ん坊の『おむつ』 から、 お年寄りのメガネまで、世の中のありとあらゆるものを購入するときに課税されるもの。 ですが売買代金自体には、課税されません。
(株の売買手数料には消費税が課税されます)

[[非課税となる取引|消費税|国税庁:http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6201.htm]]
政策的に、株を含む有価証券や社会保障費などなど、いろんなものが課税対象から外れています。

仮に、株など有価証券の売買代金に消費税が課税された場合、その額はいったい、どれぐらいになるのか、計算してみました。
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*東証一部の出来高は 2兆円/日
東証一部では、15億株、2兆円というのが、一日の取引のバロメータとなっており、これより少ないと、取引が活発でない、とされます。
(ソースは経済番組。ただし、最近は、2兆円を割る日も多いようです)

東証は平日のみ営業、年52週のうち、2週ほどのお休みがありますから

50週 × 5日 = 250日
250日 × 2兆円/日 = ”500兆円/年”

500兆円 × 0.05 (消費税率 5%) = ”25兆円”

*株売買に課税したら、消費税額は25兆円/年
新規国債発行額の枠が、年30兆円。
25兆円というのは、国家予算規模の額です。

非課税とする、ということは、すなわち、課税された時に比べて、それだけの余剰が生まれます。 他の業界が課税されている中で非課税となっている、ということは、”毎年25兆円の補助金をもらっているのと同じ”意味を持つように思えます

“消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1千万円(注)以下の事業者は、納税の義務が免除されます。
[[納税義務の免除:http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6501.htm]]

というしくみも有りますので、小額の個人投資家の取引など、たとえ消費税が課税されても、免除対象となるかもしれません。が、日本の市場は個人投資家の割合が低いですし、大証、名証、新興市場もあり、また、これは株だけで他に債券市場などもありますから、おそらくは、25兆円を超えるのではないかと考えられます。

*株売買代金に消費税を課税しちゃいけません、が。。。
仮に、株の売買代金に消費税が課税されたら、、、、たとえば、損が出た株を売却する 『損切り』 にまで、その売買代金に消費税を課税されるということになり、それは、あまりにも酷いと思います。
おそらくは、取引量が大きく減少することになるでしょう。
特に、デイトレーディングなどは激減が予想されます。

金融市場の重要な機能のひとつが、取引を通じて、株価を決定すること。
アメリカでは、サブプライムショック後、不良資産買取機構的なものが立ち上げられました。 が、市場で取引されない商品であるため、不良資産の値段が決められない、そのため、その処理に、すごーーーーく長い時間がかかってしまいました。
市場で流通している商品は、その価格の適正さは別として、とにかく、その日の値段が決まる、そのこと自体に、すごく重要な価値があります。

*金融業界は国家予算規模の手厚い保護を受けている
非課税とすること自体に異論はありません。

が、 鉛筆一本、トマト一個でも消費税が課税されていることや、海外では食料品の税率が低い場合もある、ということを考えると、金融業界は、国家予算規模の手厚い保護を受けているのだ、ということは、事実、ではないでしょうか?
(このほかにも、キャピタルゲインの優遇税制もありますし)

市場は産業の頭脳であり、お金は産業の血液であるから、大変重要なセクターには違いありません。必要なときには公的資金を投入することも、やむおえません。

しかしながら、ともすると、金融セクターが独力だけでお金を稼いでいるかの如きイメージが一人歩きしているように感じられます。

他の産業も、さまざまな産業育成政策が行われています。
(たとえば、輸出品の製造原価にかかる消費税の還付、などなど)

経済、政治番組に登場される先生方は、とかく、金融以外の業界について、行き過ぎた保護はよくない、とおっしゃいます。

けれども、金融業界も他の産業と同じように保護を受けているということ。国の手厚い保護を受け、その扱う金額の大きさに比例して、”他の産業と比べて莫大な額を非課税としてもらっている”業界である、ということは、忘れないで欲しい、とも思います。

*<<追記>> 金融政策としてのマイクロ消費税
この、株売買代金への消費税課税、金融政策に使えるかもしれません。
といっても、税率を、極々わずかに設定します。

たとえば、80年代バブルのころのように、過熱感が出てきたときや、サブプライムショックのような局面での空売り規制などの代わりに、引き締めしたい取引に”0.2%程度の消費税”を課税する、という方法。

デイトレードを減らして長期保有へのインセンティブを増やしたいときに、『当日のうちに売買を繰り返した場合のみ消費税を課税』とか。
。。。そんな政策をすると、パフォーマンスを出すために余計に株価が乱高下させられそうな気もしますが。

他にはFXのような投機的な取引に過熱感が出てきたときに引き締めたいとき、などなど。
(消費税の非課税対象には、 『通貨』 が含まれているので、為替取引なども対象外になるのですね!)

昔と違って、特定口座のような仕組みがあるので、こういう処理も、自動的に行えるのではなかろうか、と思います。 
投資家が補足を嫌わないように、特定口座を使ったときのみ、キャピタルゲイン10%優遇税制を適用するようにする、という方法もありますし。

年 500兆円の取引代金の場合、
”消費税税率 0.2% でも、1兆円の税収” となりますから、単純に金融規制するよりも、お得かもしれません。
そして、出来高が落ち込んでる今みたいな時は、株売買代金への消費税税率を”金融緩和策として、ゼロ税率”にします。

また、小額の個人投資家に有利な税制となりますので、個人投資家を増やすような動機付けとして働くかもしれません。

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